ブログ | 和紙スタジオ かみこや https://kamikoya-washi.com 伝統手漉き和紙を体験する宿泊とワークショップ Sat, 28 Jan 2023 13:05:35 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.1.5 https://kamikoya-washi.com/kamikoyawordpress/wp-content/uploads/2012/12/cropped-logo11-1-32x32.png ブログ | 和紙スタジオ かみこや https://kamikoya-washi.com 32 32 三椏の全てと、かみこや https://kamikoya-washi.com/mitusmatastory/ Fri, 27 Jan 2023 11:00:52 +0000 https://kamikoya-washi.com/?page_id=9426 三椏という植物は知っていますか?

古代から日本の文化になじんできながら、和紙の原料としては比較的新しい素材です。

この記事では三椏の歴史や使い道、生産方法について書きました。三椏について詳しくなって、和紙の可能性と奥深さを感じて下さい。

ロギールと三椏の出会い

1981年に、私たちが初めての工房を高知県の旧伊野町に構えたときには、まだ三椏の自家栽培はしていませんでした。

近所の農家さんが苗を栽培しているのを見ながら、いつかは楮だけでなく、三椏もやりたいと思っていました。

(近所の農家さんの三椏の苗の畑にて)

梼原と三椏

三椏の栽培を始めたのは、今かみこやがある梼原町への移住がきっかけです。

植林になっているところは全て三椏畑だった

現金収入は炭焼きと三椏だった

収穫時期は山の上にカマドをついて、泊まり込みで蒸し剥ぎ作業をした

と言われるぐらい三椏栽培は梼原で大きな役割を果たしていました。戦後、紙幣用の原料などとして三椏栽培がすごく奨励されていたのです。

これはかみこやと周りの風景ですが、この辺りも裏山の四国カルストまで三椏の畑が広がっていたといわれています。

でも私たちが梼原町に移住した1992年当時には、三椏を生産している農家さんはすでに1件だけになっていました。

そこでロギールは、自分のやりたい紙漉きと、新しく住み始めるこの梼原町とのつながりを強くするためにも、三椏の自家栽培を始めようと思ったのです。

奈良時代から登場する三椏

三椏は古代から日本の文化の一部となってきました。縁起が良くて、春の早い時期に花が咲く「サキクサ」と呼ばれていて、万葉集にも登場します。

春されば まず三枝(さきくさ)の 幸(さき)くあれば 後にも逢むな 恋ひそ吾妹

万葉集 (少し調べたのですが、作者は柿本人麻呂で間違いないのでしょうか、ご存じの方教えて頂けたら嬉しいです)

「春になれば咲く三椏のように、あなたが幸運で無事でいればまた会えるから、恋しがらないでください」(訳by陽平)

咲き始めの三椏の蕾

美しくて毒がある

和紙の原料としての三椏は、楮や雁皮に比べると比較的新しい素材です。最初は戦国時代に、楮と混ぜて使われていたようです。

需要が大きくなったのは明治時代。紙幣に使われるようになってからです。梼原町での三椏生産が増えたのもこの頃です。繊維が細かくて印刷に適しているので、タイプライター用紙などとしても需要がありました。

三椏には少し毒があって虫食いが起きにくいので、美しい光沢があることあって証書にぴったりです。地元の小学校での証書製作はいつも楮と三椏を半々ぐらいの原料で製作しています。

楮と三椏が半々の暑手の和紙
(楮と三椏が半々の厚手の証書用紙)

三椏の和紙の用途

生活用途の多い楮の和紙に比べて、三椏は美術用としての使い道が多いです。

書道・版画・印刷用紙

三椏は楮より繊維が短いので、墨などの滲みが少なく、紙のキメが細かいので印刷が鮮明になります。書は特に最高級のかな文字用紙として有名です。

戦争で中国から書道用紙が入ってこなくなった時に、日本産の書道用紙の開発としても三椏が使われるようになりました。

折り紙用紙

三椏を入れた折り紙用の紙は、ロギールが友人の折り紙作家マナ・オリと一緒に開発しました。

和紙ならではの薄さと丈夫さ、そして三椏紙ならではのハリが細かいデザインを可能にしています。

枝は華道の素材などに

三椏の枝をフレームに使ったロギールの照明作品

三椏の枝は白や金色に染められたものがよく華道の素材として使われます。それ以外にも、その独特の枝ぶりとしなやかな雰囲気でいろいろなアートやクラフトに使われます。

種から紙の原料になるまで

三椏の栽培は苗を仕入れて移植するのが一般的ですが、かみこやでは種から発芽させて栽培しています。

1粒の種が和紙の原料になるまでの行程を見ていきましょう!

種採取

三椏の種は6月頃に、しっかりと熟した種を木から採取します。画像の種はもう少しですね。

種まきは次の年の春なので、それまで保存しておきます。かみこやではシュロの葉にくるんで地面に埋めるという、伝統的な方法で保存しています。

(シュロの葉の中の三椏の種)

種まき・虫とり・間引き

4月ごろに、保管していた種を撒きます。

虫が芽を食べてしまうので、芽が出て最初の3週間ぐらいは、2日に1回ぐらいで虫取りをします。

(長く伸びている芽は麦です。この時は実験で麦の間に三椏を蒔きました)

その後、成長に合わせて間引きをして、理想的な大きさ、本数に育つように調整します。

3月ごろの苗の様子。今年もしっかり育ちますように!

なお、苗の販売をしておりますので、ご興味のある方はこちらのブログでご覧ください。

定植

2月の下旬から3月に定植をします。三椏は結構繊細であえなく枯れてしまうこともあるので、1か所に3本ずつ、1.5m間隔ぐらいで植えるのが、和紙原料栽培のためにはお勧めです。

三椏の株
こちらはかみこやの庭に観賞用で栽培している三椏の株。もう10歳以上になりますね。

収穫、蒸し剥ぎ

11月ごろ、葉っぱが落ちたら収穫の季節です。

和紙の原料として丁度良い、3年生と4年生の枝を選んで刈り取り、蒸して皮を剥ぎます。

枝別れが邪魔をしてまっすぐに引っ張っても剥げないので、壁に打ち付けた道具にひっかけて剥ぎます。

その後しっかりと干したら原料となります。

右側が三椏、左側の束になっているのは楮です。

この後の和紙作りの行程は、また別に機会に!

和紙を家で簡単に漉く

自家栽培している三椏を原料にして、家で和紙を簡単に漉くオンラインコース作成しました。

これまで苗を販売してくる中では観賞用に変われる方がほとんどでしたので、ぜひ間引き分だけでも和紙にしてもらいたいという思いで作成しました。以下の記事から詳細をご覧ください。

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和紙作りの名脇役「トロロアオイ」の全貌 https://kamikoya-washi.com/allabouttororoaoi/ Sat, 24 Dec 2022 13:26:19 +0000 https://kamikoya-washi.com/?p=9299 和紙に詳しいという人がもし、トロロアオイを知らなかったらその人はモグリでしょう。

それぐらいトロロアオイは和紙作りに欠かせないものです。

見た目は不気味で扱いは繊細、役割は重大なトロロアオイの全貌をこの記事で紹介します。

ワークショップでもトロロアオイの登場は大人も子供も興奮する瞬間です。ロギールが手に持っているのがトロロアオイ。

和紙作りの鍵「ネリ」

トロロアオイは、和紙を漉くときに楮や三椏などの繊維原料と一緒に水に混ぜる「ネリ」の材料です。ネリには粘りがあって、その粘りが以下のような働きをします。

  • 繊維を均一に分散させる
  • 水が簾を抜けるスピードを遅くする
  • 繊維を簾にへばりつかせる

これが「流し漉き」という和紙独特の漉き方を可能にします。

一般的にイメージされるような「薄くて丈夫」な紙は流し漉きで作られます。つまりトロロアオイはまさに和紙作りの鍵なのです。

原料と水とネリのバランスのことを地合い(じあい)と言います。1日の漉き始めにしっかりと良い地合いを作るのはとても重要です。私たちも、漉き始めの違和感をそのままにしてしまったために、1日中苦戦した経験があります。

(水とネリと原料を入れた漉き舟。朝一番の1枚目、2枚目などで地合いを調整します)

ネリはしっかりと利かせるのが基本です。

ネリが利いていると

  • 漉きやすい
  • 紙がきれいに仕上がる

ネリが利いていないと

  • 漉きにくい
  • ムラになる
  • 紙にチリが残る
  • 干すときに紙同士がくっつく

ちなみにネリは地域や工房によってはノリとも呼ばれますが、いわゆる糊のように接着する効果はありません。牛乳パックとかでリサイクルペーパーを作るときに、糊を薄く溶かして入れることがありますが、あれとは全く違います。

※重要 トロロアオイの天敵は温度

トロロアオイには、温度が高いと粘りが弱くなってしまうという特徴があります。

真夏にネリを作ると、数時間でほとんど粘りがなくなってしまいます。逆に冬、気温が5度以下のようなときは、数日たっても粘りがなくなりません。

「寒漉き」と呼ばれる、冬の寒い季節に漉いた紙が最高だと言われる理由の一つです。

トロロアオイ以外でもネリは作れる

ネリはトロロアオイ以外からでも作れます。

代表的な材料としてノリウツギがあります。ノリウツギはトロロアオイよりも粘りが弱いのが特徴と言われています。

こちらは奈良県吉野の工房「福西和紙本舗」を見学させてもらった時の様子です。

これは原料に白土を加えたうえで厚い紙を漉いているので、ノリウツギをつかって丁寧にゆっくりな動きで漉いています。

ちなみに、トロロアオイはオクラの仲間なのですが、普通のオクラでもネリを作ることができます。オクラのネリについては、こちらの記事もご覧ください。

トロロアオイは栽培されている

ノリウツギは基本的に野生の植物を採取して使いますが、トロロアオイは栽培される農産物であるという点も大きな違いです。栽培しているから比較的安定して確保できるということもあって、現代ではトロロアオイが主流です。

トロロアオイの栽培方法

かみこやでは自家栽培のトロロアオイを使っています。もちろん無農薬・無肥料です。その栽培方法をお伝えしましょう!

1,種

トロロアオイの種


種は前の年に栽培していたトロロアオイから採取したものを使います。この太短いオクラのような房の中に種が入っています。乾燥させて、種を取り出して保存しておきます。

2,種まき

初夏に種を撒きます。

農産物なので、やっぱり「良い畑」の方が出来が良いです。しかし、根にコブがつく病気もあるので、栽培の場所を毎年変えていきます。

3,間引き

芽が出てきたら、間引きを始めます。星形のような葉っぱがトロロアオイです。想定の苗の間隔になるまで、力強く成長しているのを選んで残していきます。

4,花摘み

花の後ろに見えているのが蕾。出来るだけ花が咲く前に摘んでしまいます。

トロロアオイはハイビスカスの仲間で「花オクラ」とも呼ばれてまして、大きくて素敵な花が咲きます。

でも根っこを太らすために、花は全て蕾の時点で摘んでしまいます。種を作るために成長力が奪われるのを防ぐためです。

ただし、次の年の種を確保するために、一部だけ花を咲かせてあげます。ちなみに、トロロアオイのオクラは食べれませんが、花は食べれます。おひたしとかにすると、ねばねばして美味しいですよ。

写真の撮り方が悪いですね、、

5,収穫・掃除

茎や葉が枯れてくる11月ごろに収穫します。

大事な根っこを傷つけないように掘り起こして、茎を切り落とし、水洗いして泥を落とします。

トロロアオイがないと和紙が漉けないので、立派な根っこが沢山収穫できた年は心強いですし、病気のものが多かったり、収穫が少なかったりするとすこし心配になります。

トロロアオイの保存方法

トロロアオイをどんな方法で保存しているかは重要です。

なぜかというと、保存方法によって紙の漉き具合や紙の仕上がりに影響がでるからです。防腐剤に漬け込むのが一般的で、かみこやでは冷凍保存をしています。それぞれにメリット・デメリットがありますので、まとめました。

防腐剤冷凍
ネリの効きが強いネリの効きが比較的不安定
温度に比較的強い温度に弱い
薬品の取り扱いに気を遣う安全
薬品の購入にコストがかかる冷凍庫の電気代のみ
薬品の紙への影響が未知の部分がある完全無添加の紙が作れる

かみこやでは冷凍保存をしています。なので効率は悪いですし、真夏に流し漉きはできないという制約があります。

それでも冷凍にするのは、手漉き和紙1000年の歴史で品質が証明されている、無添加の製法を大切にしているからです。

ちなみに、植物を一切使わない化学ノリというのもあります。水に溶かすだけでよくてとても効率が良さそうですが、意外とそうではなくて、化学ノリだけでは漉きにくくて、トロロアオイなどのネリと混ぜて使うことが多い、と聞いています。

トロロアオイが無くなる!?

和紙原料の楮と同じように、トロロアオイも生産者がいなくなってしまう瀬戸際にきています。

落ちに落ちた和紙の生産料がさらに落ちていることに併せて、高齢化が進んでいるからです。

ニュース> 手すき和紙作りに不可欠 トロロアオイ 「もはや限界」 茨城県小美玉市

幸い小美玉市では、現在は和紙産地からの支援もあって生産は続いているようですが、全国的にギリギリの状態は変わりません。これからはトロロアオイの確保も課題になってきています。

ところで、トロロアオイの確保に冷や冷やするのは今に始まったことではないようです。このブログを書くためにネットを調べていて、面白い記事を見つけたので引用します。

 (トロロアオイなどの)工芸作物の生産が元来、流動的で投機的な性格を多分にもっていることとも大きく関わっている。作柄が不安定であるということに関していえば、事実、先に参照した1952年の統計の1年後の旧小川町における生産量をみると、作付面積が350畝から150畝に、推定販売量は8,750貫から2,000貫に減少しているのが確認される(昭和29年園芸工芸農作物実収穫高表綴)。1年単位でこれほどまで大きな変動がみられることは、この作物の安定的な供給は、往時も決して約束されていたわけではなかったことを推測させる。つまり、今回私たちが経験した「手に入らなくなる」という「危機感」は、トロロアオイの生産に潜む本質的な弱点によるところが大きく、それが遅まきながら表面化してきた結果であったという見方をするのがより適切なのではないか。

文化財の視点からみたトロロアオイ生産技術の現状 ―茨城県小美玉市の実例を通じて―
菊池理予・林 圭史・渡瀬綾乃

紙漉きには古くから政府に規制をされたり、原料問屋が暗躍(?)したりとなかなか刺激的なストーリーがありますが、トロロアオイを巡ってもこんなドラマがあったんですね。

トロロアオイからネリを作る方法(かみこや流)

まずは解凍します。かみこやでは500gずつの塊にして冷凍しています。太い根っこだと6本前後です。

流水に入れると数時間で、室温だと一晩ぐらいで解凍します。

次に木つちで叩いて潰します。粘りが出るのは根っこの皮なので、まず芯から剥がすように叩いて、それから皮を砕きます。よいトロロアオイの皮は肉厚です。

それから次がポイントなのですが、叩いた直後のトロロアオイは粘りがあまり出ません。最低でも一晩、出来れば1日から2日ひたひたの水につけておくことで、ズルズルの粘りがでるようになります。

紙を漉く当日の朝に、水につけて置いたトロロアオイを揉んで、布で濾してネリの完成です。

ちなみに布で濾す前の液体には塊や汚れがあるので、完成したネリや紙漉き道具に触れないように気を付けて下さい。

トロロアオイはまた冷凍して、次からは解凍したらすぐに使えます。トロロアオイの質や作るネリの濃さにもよりますが、500gのトロロアオイから30リットルぐらいのネリは作れます。

この記事は以上になります。これであなたもトロロアオイについての知識はほぼ全てを知りました。あとは実際に触ってみるのが一番です。

ワークショップに来ていただけたら体験できますし、トロロアオイのネット販売もしていますので、ぜひ一度トロロアオイの粘りを感じてみてください!

何か質問がありましたら、メールマガジンの返信でお気軽にご質問下さい。

トロロアオイを購入する

かみこやの畑で大切に育てたトロロアオイを冷凍で販売しています。自家消費用の余分なので、販売量に限りがあります。

家で簡単に和紙を漉く方法

自宅で簡単に和紙を漉くためのオンラインコースを販売しています。趣味の一つとして、それからアートやモノづくりのレベルアップに、あなたも気軽に自宅で本物の和紙を漉いて下さい!

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【作品】シリーズ・手漉き和紙の空 https://kamikoya-washi.com/tesukiwashinosora/ Wed, 21 Dec 2022 23:58:38 +0000 https://kamikoya-washi.com/?p=9265 先日開催された展示会「手漉き和紙の空」展にロギールのパルプペインティングの作品をご覧ください。

ご来場いただいた皆様、それからネット上で応援して下さった皆様、本当にありがとうございました。

つづきまして、それぞれの作品をすこしクローズアップした画像です。写真が下手で申し訳ないです(^^;)

ご覧頂いた皆様は、それぞれの受けた印象とロギールのイメージを重ね合わせて、和紙の世界を楽しんで頂いていました。

高知では特に久しぶりの開催展示会の開催でした。古くからの友人や最近ご縁を頂いた方など、たくさんの人に直接お会いし作品を見ていただき、ほんとうに力を頂きました。

次の展示会ではさらに進化した作品をお見せできるようにがんばってまいります!

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「手漉き和紙の空」展 @高知市11月23日~28日 https://kamikoya-washi.com/claragarden2022/ Mon, 31 Oct 2022 00:20:07 +0000 https://kamikoya-washi.com/?p=9245 和紙アートの作品展示会を高知市で開催

高知では7年ぶりとなる、展示会を開催します。

今回は初めてはっきりとしたテーマがあります。「空」です。

和紙作りに自然の状況は重要で、空はその日の自然の様子を伺うためにいつも見上げています。

こちらに、以前「浮雲」という作品につけたキャプションをご紹介させて下さい。

“空 “を見上げること。
一日が始まったら、まずこれをする。
山の上に雲がかかっている曇り空なのか?
澄み切った青空なのか。
天候によって、やらなければならない仕事が変わることが多い。
雲の形や色から、今日の天気がどうなるのかのヒントが見えてくる。
今日は何がしたいのか、何ができるのか、何が許されているのか。
伝統的な和紙づくりは、そういうものです。
天候が急に変わる可能性は常にあります。
そうすると、また新しい状況に適応していかなければならない。
いい駆け引きです -ロギール

展示会詳細

会場:clara-garden(クララ・ガーデン)>地図はここクリック
会期:2022年11月23日(水・祝)~11月28日(月)
時間:11:00~18:00(28日は16:00まで)
展示:アートパネル、手漉き和紙、オリジナル手漉き紙、小物

会場のクララガーデンについて

クララ・ガーデンは帯屋町の一つ南の筋、おびさんロードにあるギャラリーです。

クララ・ガーデンというセレクトショップの2階です。
店舗入り口の手前右手の階段をあがります。
中はしっかりとギャラリーとして作られていて、展示のやりがいがあって楽しみです!

最寄りの駐車場は電車通りの「大橋通パーキング」です。ここをクリックして地図をご確認下さい。

clara-garden:高知市本町二丁目1-31clara-craft2階 088-855-6581

展示内容

展示は「空」をテーマにしたアートパネルを中心に、近年作ってきた作品、ランプシェード、それからもちろんいろいろな原紙や小物を出品します。

「空」シリーズは制作中です。

ランプシェード
内装用紙や美術史に使える和紙やコットンペーパーなど、売るほどある(販売します)たくさんの紙ももっていきます。作品だけでなく、本物の和紙に触れる機会としてもぜひお越しください。

ご不明なことがありましたら、お気軽にお問い合わせフォームよりご連絡ください。

それでは会場でお会いしましょう!

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オクラで和紙を漉く https://kamikoya-washi.com/paper-making-with-okura/ Wed, 16 Feb 2022 13:32:09 +0000 https://kamikoya-washi.com/?p=9119 家で和紙を漉こうとするときの課題の一つは、ネリをどうするかです。

一般的なネリの原料になるトロロアオイは、オクラの一種ですので、やってみたことがある人もいるかもしれませんが、僕もやってみました。

オクラを刻む
このオクラはフィリピンからはるばるうちまでやってきたようです。

もう一つ課題になる煮る工程については、重曹で実験してみたことがあるのでこの記事も読んでみて下さい。

それからもし、あなたが和紙をどうやって作るか全然知らない場合は、「かみこや流土佐手漉き和紙の作り方」というPDFファイルを、かみこやのメールマガジンに登録して頂いた方にお送りしていますので、ぜひ見てみて下さい。こちらから無料で登録できます

「かみこや流土佐手漉き和紙の作り方(日本語版があります)」

オクラは和紙漉きの天然のネリとして使える

オクラで漉いた三椏と楮の紙
オクラのネリで漉いた楮と三椏の和紙

このカードが今回オクラのネリで漉いた紙です。完璧じゃないですか?

これで、オクラはネリに使える!と言えます。

ところで、普段私たちがトロロアオイからどうやってネリを作っているかは、こちらの動画でご覧いただけます。

オクラでネリを作るのは実は前にもやったことがあるのですが、その時は刻んだオクラを一晩水に漬けてました。そうしたらゼリーのようなもの凄い粘りがでて、使いにくいぐらいでした。なので今回は、水に漬ける時間を30分、1時間、2時間の3種類用意してやってみました。

紙の原料は楮と三椏のミックスで、流し込みで漉きました。

3種類のオクラのネリで漉いた紙。
左端が30分、真ん中が1時間、右が2時間オクラを水に漬けたネリ

完成した紙を見るに、2時間つけるたのが一番良いようです。もっと長くつけてもいいかもしれません。

紙を光に透かすと違いが良く分かります。

30分の紙
1時間の紙
2時間の紙。水平方向の筋は、板干しした時に木目が写った模様です。

30分のネリは弱くて、ほとんど意味がありませんでした。紙はムラがあって、ネリなしで漉いた紙のようです。

2時間つけたネリで漉いている様子
30分つけたネリで漉いている様子。全然違います。

今回は流し込みで漉いたので、このネリが和紙特有の流し漉きでも使えるかはまだちょっと分かりません。

和紙の特徴的な漉き方、流し漉きの様子

工程

刻んで水に漬けたオクラを濾します。
濾した粘りのある液体が「ネリ」です。
板で干しました。

ネリを取った後のオクラをどうやって食べるか

使ったネリをどうやって食べるのかは重大問題です。私はオクラが大好きなので、一度使ったオクラでも絶対に美味しく食べたいのです。でもネリを取ったあとの2時間も水に漬けた後のオクラの粘りはすごくて、ちょっと気持ち悪いぐらいです。

今回はかき揚げにして天ぷらそばで食べました。

天ぷらそば
美味しかったです。

私の友人は卵焼きに入れたらどうかと提案してくれましたが、これが最適解かもしれません。粘りの感触は卵の白身に似ていますし、ふわふわになると思います。次回は卵焼きに挑戦してみます。

ご感想をお聞かせ下さい。

このオクラのネリと重曹での煮熟で、手軽に家で紙を漉く方法がそろいました。紙漉きが始まった古代から、いろいろな素材は試されながら現代の手漉き和紙になっていますので、この方法も伝統手すき和紙と言えるかも!?

もちろん、楮や三椏などの原料は必要です。これについても後々考えていきます。

それから道具も必要です。でも柔軟に考えてもらえたら、もう道具はあなたの台所に揃っていると思います。下の動画を見て下さい。私が何を言っているのか分かると思います。

手漉き和紙の技術は奥が深くて、これからどういう方向にこの家での手漉き和紙を進めることもできます。なのでぜひ、こちらから無料のメールマガジンに登録して、返信でご意見をお聞かせ下さい。

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