和紙作りと技術:濾す
このブログシリーズについて
「伝統手漉き和紙からのメッセージ」
今回のブログでは、和紙作りの中の濾す技術について注目します。
そもそも漉く(すく)は漉す(こす)とも読み、同じ意味でもあります。土に生えていた植物を少しずつ水に慣らし、溶かした繊維を、逆に水から切り離す瞬間です。
濾す部分となる簀は伝統的に萱(かや)や竹が使われます。
版画用などとして簾の跡が残らない紙を漉くために、簾の上に絹などでできた紗を貼っている場合もあります。
またかみこやでは西洋の手すき紙にも使われる銅や、近代の紙漉きで使われるステンレスの簀も使っています。
それぞれの簾には特性の違いがあるので、原料や目的の紙に応じて道具を使い分けることになります。
それから、和紙独特の漉き方、流し漉きに欠かせないネリをトロロアオイから作る際にも濾します。砕いたトロロアオイの根っこを水に浸し粘りを出して、一度目の粗いメッシュで絞って濾し、その液をさらに綿の袋で濾して、塊のないスムーズなネリを作ります。