和紙作りと自然:水
このブログシリーズについて
「伝統手漉き和紙からのメッセージ」
和紙作りと水の関わりはとても深く、ほとんどすべての工程に水を使っていて、その目的も様々です。
一つ目は、水が原料に浸透して柔らかくするという役割があり、原料を刈り取ってから最初の工程となる蒸し剥ぎでも利用されます。蒸し剥ぎでは下の画像のように、2時間から3時間ほどしっかりと蒸すことで、原料が柔らかくなり簡単に木から剥すことができるようになります。
ちなみに下の画像が乾いた原料です。
ちなみに下の画像のように乾いた原料はパリパリで、このままでは皮を剥ぎは全くできません。水に濡れると柔らかくなる、当たり前のようですが、不思議で重要な役割です。
また、原料を水で「洗う」ことも、一連の工程の中で何度も出てくる大切な作業です。木の皮を様々な手を加えながら、繊維以外の成分を洗い流すのが和紙の紙料作りそのものともいえるかもしれません。
その中でも特に「洗う」と呼ばれる工程は、原料を煮た後に行われます。煮るときに使った消石灰とともに、繊維以外の溶けだした植物成分を洗い流します。
さらにこの後48時間ほど流水につけてしっかりと洗い?流します。
この工程は「晒す」と言って、不純物を洗い流すと同時に、日光に当てて自然漂白させる役割もあります。リンク
それから、原料を水中に浮かせて分散させる働きも、和紙作りには欠かせません。なにより、紙を漉くときです。
実際には水だけでは繊維は完全には分散しないので、ネリを入れてしっかりと混ぜてから漉きます。
晒した後の原料から、細かい傷やゴミなどを取るちり取りも、原料が水中に浮いていないとできない作業です。長い時間水に手を付ける作業なので、水が冷たい時期は修行です。