オクラで和紙を漉く

家で和紙を漉こうとするときの課題の一つは、ネリをどうするかです。

一般的なネリの原料になるトロロアオイは、オクラの一種ですので、やってみたことがある人もいるかもしれませんが、僕もやってみました。

オクラを刻む
このオクラはフィリピンからはるばるうちまでやってきたようです。

もう一つ課題になる煮る工程については、重曹で実験してみたことがあるのでこの記事も読んでみて下さい。

それからもし、あなたが和紙をどうやって作るか全然知らない場合は、「かみこや流土佐手漉き和紙の作り方」というPDFファイルを、かみこやのメールマガジンに登録して頂いた方にお送りしていますので、ぜひ見てみて下さい。こちらから無料で登録できます

「かみこや流土佐手漉き和紙の作り方(日本語版があります)」

オクラは和紙漉きの天然のネリとして使える

オクラで漉いた三椏と楮の紙
オクラのネリで漉いた楮と三椏の和紙

このカードが今回オクラのネリで漉いた紙です。完璧じゃないですか?

これで、オクラはネリに使える!と言えます。

ところで、普段私たちがトロロアオイからどうやってネリを作っているかは、こちらの動画でご覧いただけます。

オクラでネリを作るのは実は前にもやったことがあるのですが、その時は刻んだオクラを一晩水に漬けてました。そうしたらゼリーのようなもの凄い粘りがでて、使いにくいぐらいでした。なので今回は、水に漬ける時間を30分、1時間、2時間の3種類用意してやってみました。

紙の原料は楮と三椏のミックスで、流し込みで漉きました。

3種類のオクラのネリで漉いた紙。
左端が30分、真ん中が1時間、右が2時間オクラを水に漬けたネリ

完成した紙を見るに、2時間つけるたのが一番良いようです。もっと長くつけてもいいかもしれません。

紙を光に透かすと違いが良く分かります。

30分の紙
1時間の紙
2時間の紙。水平方向の筋は、板干しした時に木目が写った模様です。

30分のネリは弱くて、ほとんど意味がありませんでした。紙はムラがあって、ネリなしで漉いた紙のようです。

2時間つけたネリで漉いている様子
30分つけたネリで漉いている様子。全然違います。

今回は流し込みで漉いたので、このネリが和紙特有の流し漉きでも使えるかはまだちょっと分かりません。

和紙の特徴的な漉き方、流し漉きの様子

工程

刻んで水に漬けたオクラを濾します。
濾した粘りのある液体が「ネリ」です。
板で干しました。

ネリを取った後のオクラをどうやって食べるか

使ったネリをどうやって食べるのかは重大問題です。私はオクラが大好きなので、一度使ったオクラでも絶対に美味しく食べたいのです。でもネリを取ったあとの2時間も水に漬けた後のオクラの粘りはすごくて、ちょっと気持ち悪いぐらいです。

今回はかき揚げにして天ぷらそばで食べました。

天ぷらそば
美味しかったです。

私の友人は卵焼きに入れたらどうかと提案してくれましたが、これが最適解かもしれません。粘りの感触は卵の白身に似ていますし、ふわふわになると思います。次回は卵焼きに挑戦してみます。

ご感想をお聞かせ下さい。

このオクラのネリと重曹での煮熟で、手軽に家で紙を漉く方法がそろいました。紙漉きが始まった古代から、いろいろな素材は試されながら現代の手漉き和紙になっていますので、この方法も伝統手すき和紙と言えるかも!?

もちろん、楮や三椏などの原料は必要です。これについても後々考えていきます。

それから道具も必要です。でも柔軟に考えてもらえたら、もう道具はあなたの台所に揃っていると思います。下の動画を見て下さい。私が何を言っているのか分かると思います。

手漉き和紙の技術は奥が深くて、これからどういう方向にこの家での手漉き和紙を進めることもできます。なのでぜひ、こちらから無料のメールマガジンに登録して、返信でご意見をお聞かせ下さい。