カレーと一緒に和紙を作りました。

自宅で和紙を作る、ちょっとイメージができないかもしれませんけど、それほど無茶な話ではありません。

とくに江戸時代にやっていたような昔のやり方なら、機械も薬品もいらないので意外と現実的です。

和紙にはもちろん字を書いたり絵を描いたりできますし、薄さを活かして照明にしたりしていろんなクラフトにも使えます。それから何より、紙作り自体がとても楽しい作業です。

でも、シンプルな和紙作りの工程の中でも、原料を煮る「煮熟(しゃじゅく)」作業は家庭でやるには少しだけハードルがあります。アルカリ性の水で煮る必要があって、かみこやでは比較的安全で紙の品質も良い消石灰を使うのですが、それでも普通の家庭にあるものではないですよね。

そこで、普通のご家庭の台所にも一番ありそうなアルカリ性物質「重曹」で煮る実験をやってみました。この投稿ではその結果をご報告します。

そもそもどうやって和紙って作るの?という方には、「かみこや流 土佐手漉き和紙の作り方」というPDFファイルをメールマガジンに登録して頂いた方にお送りしています。無料ですのでぜひこちらから登録下さい。

和紙原料は重曹で煮ることができる

結論から言うと、重曹で煮て和紙を作ることはできます!

れっきとした手漉き和紙になりました。

重曹で煮た三椏の和紙

良いところは、繊維の美しさが失われていないことです。光沢が残っています。

艶があります。

なお、完璧に繊維がほぐれることはなくて、束になった繊維が残った紙になります。

透かすと繊維の束が見えます。

作業の様子

それではどうやって作ったのかご覧ください。

三椏の原料を1本倉庫から引っ張り出してきました。
一晩水につけます。
重曹の量が足りなくて実験結果が間違わないように、今回は原料の量に対してありえない量ぐらいたくさんの重曹をつかいました。
一晩水に浸した三椏を重曹水で煮ます。横では母がカレーを作っています。おいしかったです。
蓋を完全に閉めたら吹きこぼれてしまいました^^;キッチンで紙漉きをするときはこれは覚悟して頂いた方がいいかもです。
原料を割いて、引っ張ってみて煮え方をチェックです。いつも消石灰で煮たときより少し硬いですが、3時間も煮たのでこれ以上やっても意味がないと思いここで火を止め、煮汁につけたまま一晩おきます。
翌日から、また1日流水に晒します。
次は打開です。この時点での原料の雰囲気は、いつもの紙作りと変わらず完璧に溶けていそうとさえ思いました。
すこし水に溶かしてチェックします。やはり少し束が残っていますがかなり叩いたので、ここまでと思い漉く作業に移ります。
量が少ないので流し込みで漉きました。
もちろん伝統の板干しで仕上げました。

ここが始まり

原料の溶け具合は完璧ではありませんでしたが、紛れもない和紙に仕上がることは分かりました。ここからは、作りたい紙の方向性でいろいろな工夫の仕方はあります。

また、残るテーマは漉く作業の時に水と原料に加える粘材・ネリです。かみこやではトロロアオイを使いますが、これも家庭で気軽に手に入るものではありません。トロロアオイはオクラの一種なので、次はオクラでネリを作る方法を実験したいと思っています。

もちろん、道具をそろえないといけないし、家で紙を漉くことが全くイメージできないという方は、この動画を見てみて下さい。今すぐ、紙漉き作家になれます!

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伝統手漉き和紙の技術は奥が深くて、いろいろな方向に向かうことができます。ある意味方向がありすぎて、どっちに向かえば良いか悩むほどです。

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